Case File ２６ 信頼の秒読み〈カウントダウン〉
前話の続き。異空間・ゲンブゾーンに飲み込まれたタイムレンジャー。脱出できた竜也とユウリは、他の３人を助け出そうとする．．
［脚本：小林靖子］
どうだった？
なんとかやり過ごした。
なんか、ジメジメしてヤなところですね。
でも、これで一息つけるな。
まさか、自分に追われるとは思わなかったぜ。
いや、自分より上だ。まともに戦っても勝てないぞ。
望みの綱は、竜也さんとユウリさんてことですね。
あの２人、ほんとにもうケンカ引きずってないんだろうな。…たのむぜ、…。
俺、今日サイコーにかっこ悪いかも。いつの間にかユウリに弱み握られてさ。もうエラそうなこと言えないな。
私、嘘ついてた。
え？
あなたにも、…自分にも‥。
何のこと？
竜也‥、馬跳び、しよか。
え？
馬跳び。知ってるでしょ。ほら早く馬になってよ、ほら頭下げて。いくわよ。（跳ぶ。） ほら、次、竜也の番だよ、早く。早く！
‥ようし、行くぞ。（跳ぶ。） よし、来い！ ユウリ、早く！
（しゃがみ込んでしまう。）
ユウリ…？
さっき、こういう状況に慣れないって言ったけど、もっと慣れなくて、不安なことがあったわ。
犯罪現場に突入するのは確かに不安よ。でも、たとえ命を預けた仲間でも、作戦が終わればそれぞれ家族や恋人のところへ帰っていく。さっきまで不安を隠せなかった顔も、その時は何事もなかったかのように輝かせて‥。でも、私にはできなかった。私には、誰もいない真っ暗な部屋へ帰ることの方が、もっともっと不安だったから．．
「おかえり」って、「今日、何があったの？」「そう、無事で良かったね」って、そう言って抱きしめてくれる家族のいない家に帰ることの方が、ずっと、…。
妹がね‥。
え？
馬跳び、妹がいつもせがんでた。お姉ちゃん、馬跳びやろうって。でも私、相手にしなかった。そんな子供っぽいことできないって。あんなことに…、妹があんなことになるんなら、もっと遊んでやればよかった。馬跳びでも、何でも…。
ユウリ、‥。
タック：
（無線で） ポイントが割り出せた。作戦を開始してくれ。
了解。