Case File ２１ シオンの流儀
最近人気の飲料水・パワースプリッティの正体は、３０世紀のネオアルコールだった。調査に向かった５人。だが、異星人・シオンを除いた４人は、原液を浴びせられ酔っぱらってしまう。一人残ったシオンは…。
夏服に衣替えの５人。
［脚本：小林靖子］
おじさん。はい、全部終わりました。
店主：
相変わらず早いねえ、シオン君は。下請けやってもらって大助かりだよ。修理代、おまけ付けとくからね。
ありがとうございます。
タック：
だめだな。結局、あの装甲車の所属を示す情報は見つからない。
確かなのは、この時代でロンダーズ対策が進んでるってことだけか。
そういうことね。
お疲れさまです。これ飲んで一服しませんか。
これって、今すごいブームのやつじゃん。
ええ。元気が出て、ちょっと楽しい気分になるんですって。
クスリやアルコールでもないのに？
効くと思って飲めば、効いた気になるんだろ。
まあ飲んでみりゃ分かるって。
（飲む。）
あー。けっこうウマイねえ、これ。
おいしいですね。
ん？
おい。これ、…？
（うなずき、ラベルを見る。）
ドルネロ：
ほう、パワースプリッティが効かねえとは、地球人じゃねえらしいな。
タック、みんなパワースプリッティの原液吸い込んじゃったんですけど。
タック：
心配はない。パワースプリッティの成分は、３０世紀でヒットしたネオアルコール。酒みたいなものだ。たぶん刑務所にあったのをドルネロが見つけたんだろう。ただ、アルコールより精神的な作用が大きい。
えっ、どういうことですか？
タック、おまえ、おれが飼ってた犬にそっくりい、ハッハッハッハッ。
竜也さん．．
タック：
早い話がこういうことだ。かなりひどく酔っぱらう。
おいやめろ、竜也。やめろって。
いちばん、ドモン。うたいま〜す。「♪しらず〜しらず〜あるい〜てきた ほそく〜ながい〜このみち〜」
ヨッ、まってました〜、だいと〜りょ〜、にっぽんいち〜。ドモンちゃん、さいこ〜。
キャハハハハハ、キャハハハハハ。タック、ど〜したんだ〜。（たたく。）
タック：
やめろ！ こら、やめないか。
あー。あー。あー。（悪夢）
（酔っ払いのみなさん）
「あ〜あ〜 かわのながれのよ〜に〜」
（笛を吹き、紙吹雪をまき散らす。）
おかしあげる〜。（竜也の口にポテトスティックを突っ込み、頭をたたく。）
（部屋の隅で）
タック：
どっちにしろ、竜也たちの酔いが醒めてからだな。
えっ、それまでロンダーズをほっとくんですか？
タック：
君一人ではムリだ。危険すぎる。
（タックを持ち上げ） なんで死んじゃったんだよ〜。
タック：
やめろ！ 僕は犬じゃない。
（酔っ払いのみなさん）
（タックに落書きなどしてる。） え〜へ〜ははは〜、へ〜ははは〜。
タック：
いい加減にしろ、竜也！
（タックに向かって） ワン、ワン、ワン。
タック：
僕は犬じゃない！
（裸踊りをしている。）
ワハハハハハハ、ワハハハハハハ。
タック：
シオン、一体さっきから何してるんだ？
さっき言ったはずだぞ、竜也たちの回復を待つって。シオン！
タック、もし残ったのが僕じゃなかったら、やっぱりそう言いますか？ 竜也さんたちにも、「待て」って言うんですか？