少佐の好敵手、ドリアン・レッド・グローリア伯爵の紹介編。「ＮＯ．２」へのイントロダクション。少佐は登場せず。
　伯爵とシーザー・ガブリエルによる男同士のキスシーンは、当時も今も衝撃的。ジェイムズ君、早くも活躍。

登場人物
　ＩＣＰＯ
　　タラオ・バンナイ

　シーザー・ガブリエル　ロンドン大学講師　１８歳
　シュガー・プラム　美術学生　１６歳
　レパード・ソリッド　スタント・マン　１９歳

　デブリン夫人　美術コレクター

　ヒース　ピアニスト
　ジャスティン　歌手

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）　美術コレクターの泥棒貴族
　計理士・ジェイムズ君

　エーベルバッハ少佐登場！　今回の任務は、超能力を持っているとされるシーザー・ガブリエルの秘密を探り、その能力に何らかの危険性が認められた場合、“然るべき処置”をとることである．．
　「あんなガキが相手とは…　つまらん任務だ――」　

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　オットー・ライネファルト中佐
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｆ

　ＩＣＰＯ
　　タラオ・バンナイ

　シーザー・ガブリエル　ロンドン大学講師　１８歳
　シュガー・プラム　美術学生　１６歳
　レパード・ソリッド　スタント・マン　１９歳

　エーリッヒ・ギュンター博士
　エーベルバッハ家の執事

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　ＮＡＴＯ支部　情報部室（大至急ロンドンへ）
　　　　　　　　　　　　↓車（部下Ｂの運転）
　　　　　　　　　　　自宅
　　　　　　　　　　　　：
　　↓民間航空機
　イギリス　ロンドン　ロンドン大学
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　西ドイツ大使館
　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉
　　　　　　　　　　　　　　〈朝〉
　　↓軍用機
　西ドイツ　ボン？　基地
　　　　　　　　　　 　　　：　レオパルドＢ・Ｉ
　　　　　　　（アウトバーン）
　　　　　　　　：　
　　　　　　　北海の孤島
　　　　　　　（レオパルドＢ・Ｉ内）
　　　　　　　　：　軍用ヘリ
　　　　　　　再び島へ
　　　　　　　　↓
　　　　　　　自宅

※　少佐がイギリスから帰ってきた基地がボンの近くだとすると、北海くんだりまではかなりの距離。この頃はまだ「イブの息子たち」的パラレルな世界を引きずってたか．．（←こーゆーヤボは、あと書かないからね）

　イギリスで少佐の部下が東側の軍事情報を入手したが、ＭＦＳ（東独国家保安省）に追われ、オックスフォード大学のアキレス像に隠してきた。少佐は取り戻しに向かう．．
　「気に入らんね。くだらん定石はおれの趣味じゃない。」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ
　　ロンドン駐在　ジョン・ドレイク

　シーザー・ガブリエル　ロンドン大学講師　１８歳

　ブリオシュ子爵
　ブリオシュ子爵夫人
　客船「ミケランジェロ」号船長
　シー・ジャッカーたち

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

※　アラスカ送りされる部下は、「Ｎｏ．９　アラスカ最前線」で少佐を出迎える部下Ｊであろうか。同話中に部長の「今まで君に送られた部下たちが歓迎してくれるだろう」というセリフがあるが‥。

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　ＮＡＴＯ支部　情報部室
　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　 ：
　〈夜〉
　イギリス　ロンドン　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　大英博物館前
　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　シーザー・ガブリエル宅
　　　　　　　　　　　　　　：
　ポルトガル　リスボン
　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　リスボン郊外　グローリア伯爵の隠れ家
　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　↓潜水艦
　　　　　　　　　客船「ミケランジェロ」号内
　　↓
　フランス　パリ　ルーブル美術館

　ギリシア海運界の名門・フェルチス家の後継者に、ＫＧＢの腕利きの女スパイが接近してきた。エーベルバッハ少佐は彼女を監視する．．
　部下Ｇ登場。彼女、じゃない彼がオカマ化した経緯は、「イブの息子たち」番外編“グッド・カンパニー”をチェック！　
　「女の尻のあとはオカマのケツ追いか．．“鉄のクラウス”が夜泣きしてるぜ。」　　

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｇ（ミス・ダフネ・フェルチス役）

　ＫＧＢ
　　マイヤ・ブルガコワ　現代の「マタ・ハリ」といわれ西側からマークされている腕ききの女スパイ

　ヤニス・フェルチス　フェルチス海運社長　２３歳

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　フランス　パリ
　　↓
　ギリシア　アテネ
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　（神殿前）
　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　　　（神殿前）
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　（車）
　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　　　（盗聴室）
　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　フェルチス海運（ニューヨーク市民生局員ジョージ・ジョンソン役）
　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　〈夜〉（盗聴室）
　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
　　　　　　　　↓車
　　　　　　　スーニオン岬
　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　：
　　↓輸送用ヘリ
　オーストリア上空
　　↓輸送用ヘリ
　西ドイツ　ボンへ…

　米ソ両首脳による平和会談がロンドン大学総長の家で開かれることになった。会議をねらってノイエ・ナチスのような過激集団がテロ活動を行うおそれがある。エーベルバッハ少佐の任務は、東側と協力してテロから会議を守ることだが．．
　「気をつけろよ、俺は睡眠不足と空腹でイライラしてるんだ。」　

登場人物
　アメリカ合衆国大統領
　ソビエト連邦首相
　イギリスのアメリカ大使、ソ連大使

　ＮＡＴＯ
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　ボン支部情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｅ

　ＣＩＡ
　　（少佐が「ヤンキー」と呼ぶ男）

　ＫＧＢ
　　コードネーム「白クマ」

　ノイエ・ナチス
　　ペーター・ギュルテンほか

　ロンドン大学総長とその夫人
　ギャバン氏　パリの往年の大ギャング

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　イギリス　ロンドン郊外　ノース・ダウンズ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓キャデラック
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ロンドン大学総長宅
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ドリアン・レッド・グローリア伯爵の城
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　東西両陣営首脳平和会議準備本部
　　：
　西ドイツ　ボン　ＮＡＴＯ支部情報部室
　　　　　　　　　　　　↓車
　　：
　イギリス　ロンドン　車内
　　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　　　　　　　　　　　つきあたりの場所
　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　リバプール・ストリート
　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　Ｊ・Ｗ・ＢＥＮＳＯＮ・ＬＴＤ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　グローリア伯爵の城
　〈夜〉：
　フランス　パリ
　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　ギャバン氏宅
　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　とあるパリの美術館
　　　　　　　　　　　　：
　〈夜明け〉↓ジェット機
　イギリス　ロンドン郊外　ノース・ダウンズ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　グローリア伯爵の城
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ロンドン大学総長宅　(庭園)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(書斎)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓走って
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　草原

　ソ連により設置されたＭＡＲＶミサイルに関する軍事機密を、イラン革命前のパーレビ国王が入手していたことがわかった。ＮＡＴＯとしても、ミサイルに対処すべき軍配置をするために是非とも手に入れたい情報である。今回の少佐の任務は、革命政府とソ連側に悟られずにこの機密を入手することである．．
　部下Ｚ登場。（実際には「Ｚ」シリーズの方が先だが。）
　「俺はあさっての事まで今日中に片づけてしまいたがる男だ。ここが中東だからって彼らのペースに合わせようとは思わんね。」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ｅ、Ｈ、Ｋ、Ｌ、Ｍ、Ｉ、Ｚ
　　イスタンブール駐在・ジョバンニ・ステファーノ
　　サンジャビ大尉
　　アズハリ
　　コードネーム「ギェディ」　テヘランに１０年来潜入

　ハールーン　ペルシャの美少年

　情報部長夫人
　エーベルバッハ家の執事
　ベイルートのバクチアル父子
　テヘランの美少年窟の支配人

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　自宅〈ＡＭ６：３０〉
　　　　　　　　　　　　　　（寝室）
　　　　　　　　　　　　　　（洗面所）
　　　　　　　　　　　　　　（食堂）
　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　ＮＡＴＯ支部情報部室
　　　　　　　　　　　　　　　　　（回想・部長室）
　　　　　　　　　　　　：
　　↓軍機
　トルコ　　トルコ空軍基地
　　　　　　　↓
　　　　　　アナトリア高原（隊商のふり）
　　　　　　　↓ロバ
　　　　　　イランとの国境（ジャービル・ラサーイル役）
　　↓ロバ
　イラン入り
　　　　　　　　　↓ロバ
　　　　　　　　　：
　　　　　　　　テヘラン　コードネーム「ギェディ」の店
　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉作戦会議
　　　　　　　　　　　　　　　↓侵入
　　　　　　　　　　　　　　パーレビの王宮　（広間）
　　　　　　　　　　　　　　　↓ジープ
　　　　　　　　　　　〈翌日〉：
　　　　　　　　　　　　　　「ギェディ」の店
　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　美少年窟
　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　↓航空機
　レバノン　ベイルート国際空港
　　↓ヘリ
　シリア　ダマスカス　パルミュラ上空
　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　地上
　　　　　　　　　　　　　〈夜〉

　アメリカ国防省高等計画研究局から、開発中の衛星迎撃衛星の機密が盗まれた。盗んだのは内部の技師。彼はローマ法王ヨハネ・パウロ２世がアメリカを訪問した折りに感銘を受け、この軍事機密を持ち出してヴァチカン法王庁へ駆け込んだのであった。ＮＡＴＯは“プロ”の手を借りることにする．．
　少佐最大の敵「仔熊のミーシャ」登場。
　「パリからローマまで１３時間――か！　ジェットなら一時間で行くっていうのに……！」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｇ、Ｐ、Ｚ

　ＫＧＢ
　　コードネーム「赤いきつね」
　　コードネーム「白クマ」
　　コードネーム「仔熊のミーシャ」
　　コードネーム「ドストエフスキー」
　　コードネーム「トルストイ」
　　コードネーム「ツルゲーネフ」
　　コードネーム「ゴーリキー」

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　教会
　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　　(情報部長室)
　　　　　　　　　　　　　　　　　(情報部室)
　‐‐‐‐‐
　〈数日後〉
　オランダ　１８時１分アムステルダム発パリ行ＴＥＥ（国際特急）「イル・ド・フランス」内
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（食堂車）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（回想・ＮＡＴＯ情報部長室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（通路）
　〈夜〉：
　フランス　パリ　パリ駅
　‐‐‐‐‐
　　　　〈１５時頃〉パリ駅
　　　　　　　　　　　　↓パリ発ローマ行ＴＥＥ冬季特別臨時列車「ハレルヤ・エクスプレス」内
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（通路）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（コンパートメント）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（通路）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（トイレ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈１７：３０頃、ディジョン駅を通過〉：（通路）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（コンパートメント）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（通路）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（荷物）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（運転席）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（列車の屋根）
　　　　　　　　　　　　↓車外へ
　　　　　　　　　　　ボローニャ駅近く

　前話の続編。いよいよローマ入り。軍事機密は入手するものの、そのあととんでもない大騒動がもちあがる。
　「何度でも言ってやるぜバカ野郎、くだらんかっこつけてないでどっかへ失せろバカ野郎、俺達は急いでるんだバカ野郎。」　

登場人物
　ローマ法王

　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｇ、Ｚ

　ＣＩＡ、ＫＧＢ、ＳＩＳ等

　イタリア警察
　　警視総監
　　デカ長
　　フランコ・ジュリアーニ（別名「かんおけ刑事」）
　　フラ・アンジェリコ　もと僧侶

　ウンベルトの家の娘・ルクレチアとその兄、父、母
　ジャン・マリア・ボロボロンテ　マフィアの大ボス

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　イタリア　ローマ　ホテル
　　　　　　　　　　　　　　　　（部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　（大浴場）
　　　　　　　　　　　　　　　　（レストラン）
　　　　　　　　　　　　　　　　（玄関）
　　　　　　　　　　　　　↓伯爵のフェラーリ
　　　　　　　　　　　　（アッピア街道）
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　（サンタンジェロ城前）
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　（サン・ピエトロ寺院）
　　　　　　　　　　〈夜〉：
　　　　　　　　　　　　カタコンベ（地下墓地）内
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　ウンベルト家の風呂場
　　　　　　　　　　　　　↓逃走
　　　　　　　　　　　　ヴァチカン宮殿が見えるテヴェレ川のほとり
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　〈翌日〉
　　　　　　　　　　　　サン・ピエトロ広場
　　　　　　　　〈夜〉
　　　　　　　　　　　　　↓ヘリ
　　　　　　　　　　　　ヴァチカン宮殿上空
　　　　　　　　〈翌日〉
　　　　　　　　　　　　路上で待ち伏せ
　　　　　　　　　　　　　↓業者のトラック
　　　　　　　　　　　　サン・ピエトロ広場
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　法王庁への抜け道
　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　　　　　　　　　　宮殿内
　　　　　　　　　　　　　　（システィナ礼拝堂）
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　抜け道
　　　　　　　　　　　　　↓トラックで逃走
　　　　　　　　　　　　ホテル
　　　　　　　　〈翌日〉
　　　　　　　　　　　　墓地
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　サン・ピエトロ広場
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　法王庁内会議室
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　ホテルの部屋
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　イタリア警察前
　　　　　　　　　　〈夜〉
　　　　　　　　　　　　車内で待機
　　　　　　　　　　　　　↓マセラティ
　　　　　　　　　　　　ボルゲーゼ公園
　　　　　　　　　　　　　↓マセラティ
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　↓軍用機
　　　　　　　　　　　　イギリス上空

　長年アラスカのフェアバンクスに住んでいた旧ドイツ空軍のパイロットが死んだ。ＦＢＩの調査で、彼の日記に重大な事実が残されていることがわかった。彼はかつて、ナチス・ドイツの偽ドル紙幣の原版を輸送機に搭載しドイツから旧日本軍占領地キスカ島へ運ぶ任務にあたったが、その途中、アラスカ上空で荒天のため飛行不能となり、タズリナ湖に不時着。輸送機は湖の底へ。ただ一人湖から脱出した彼は罪に問われる事を恐れ、本国へ報告せずそのまま３０数年間アラスカに隠れ住んでいたのであった。厳重な機密装置で守られた原版は現在もなおドル札偽造に十分使用できる。少佐の任務は、アラスカへ行き、湖の底に沈んだ輸送機を引き上げ偽ドルの原版を処分する事である。一方、「No.7　ハレルヤ・エクスプレス」の件で逮捕されたＫＧＢの「仔熊のミーシャ」は逃亡し、少佐を狙う。
　「俺はタバコをくれと言っとるんだ！ばか者！」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｆ、Ｇ、Ｈ、Ｉ、Ｊ、Ｋ、Ｌ、Ｍ、Ｎ、Ｏ、Ｐ、Ｑ、Ｒ、Ｓ、Ｔ、Ｕ、Ｖ、Ｗ、Ｘ、Ｙ、Ｚ

　ＦＢＩ
　　アラスカ・フェアバンクス支局長
　　スミス捜査官
　　フォード捜査官　＝　ＫＧＢ・コードネーム「カリンカ」

　ＫＧＢ
　　コードネーム「仔熊のミーシャ」
　　ビリー・スマイル／コードネーム「カチューシャ」
　　コードネーム「カリンカ」　＝　ＦＢＩ・スミス捜査官

　アメリカ空軍アラスカレーダー基地司令官
　ソ連空軍シベリア・ウスペンスキー基地の司令官・ニコライビッチ
　ソ連原潜の給仕・イワン
　アンカレッジの駅前不動産屋
　エーベルバッハ家の執事
　スミス捜査官の娘・メアリー

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君
　ジョーンズ君

※　部下Ｂ「僕がいつもトイレの見張りで失敗するのがいけなかった」、少佐「部下Ｂ！見張り中はトイレへ行くなよ！」は、『エロイカより愛をこめて　Ｎｏ．４』と『Ｚ・�U』をチェック。『Ｚ・�T』では、部下Ａもトイレで失敗する。

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　自宅
　　　　　　　　　　　　（トレーニング室）
　　　　　　　　　　　　（シャワー室）
　　　　　　　　　　　　（寝室）〈０：００就寝〉
　　　　　　　　　〈朝〉
　　　　　　　　　　　　（廊下）
　　　　　　　　　　　　（食堂）
　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　ＮＡＴＯ支部情報部室
　　　　　　　　　　　　：
　　↓軍用機
　（グリーンランド）
　　↓軍用機
　アメリカ合衆国　アラスカ　フェアバンクス空港
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　〈翌日〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　ＦＢＩアラスカ・フェアバンクス支局
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　　　　　（基地へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　タズリナ湖　船上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉公園内の路上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　タズリナ湖畔の山荘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　基地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　タズリナ湖　船上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　引き上げ船の上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　タズリナ湖畔
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　　（Ａ地点）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　車外へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓ヘリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　湖へ不時着
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　　　　　　　　　　　　　　　クマに襲われた住人があわてて逃げ出してそのままって風情の小屋
　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉↓アメリカ空軍のヘリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ベーリング海の崖
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓崖を降りていく
　　　　　　　　　　　　　　　　　ソ連の原子力潜水艦内
　　　　　　　　　　　　　　　　　〈一夜を明かす〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　ソ連　ペトロパブロフスク
　　　　　　↓ヘリ
　　　　　シベリア　ウスペンスキー基地
　　　　　　　　　　　　↓ジープ
　　　　　　↓ミグ２５戦闘機
　アメリカ合衆国　アラスカ領空内へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　空軍基地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　海軍基地
　　　　　　　　　　　　↓練習船
　　　　　　　　　　　太平洋
　　　　　　　　　　　　↓ゴムボート
　　　　　　　　　　　ハワイの海岸へ


※冷戦終結前のシリーズで少佐が敵地・ソ連に足を踏み入れる（捕らえられる）のは本話のみ。
※エンディングの行程はかなり無理があるが‥。

　有能だが極端な任務至上主義の少佐は、ボン支部上層部の頭痛のタネ。部長たちは、少佐に家庭を持たせようと一計を案じるが…。
　ユーモア色が濃いものの、ホンワカ気分にさせられる好編。一度読んだら忘れられず、何度読んでも楽しい。若き日のエーベルバッハ少佐の各エピソードはリアルで説得力がある。　シスター・テレサとの再会の場面はもう少しドラマチックにしてほしい気もするが、少佐にしてはこれが精一杯の愛情表現。なんだかちょっとだけ感動する。
　「この俺がマイホームパパになってたまるか！　新生児の講釈をするくらいならミサイルかかえて自爆してやる！」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部人事部長
　　同経理課長
　　同情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ
　　ビルギッテ・コッホ

　ＫＧＢ
　　コードネーム「緑のたぬき」

　シスター・テレサ

　エーベルバッハ少佐の父（回想）
　エーベルバッハ家の執事
　エーベルバッハ少佐の同級生たち、ほか

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　自宅
　　　　　　　　　　　　↓ベンツでアウトバーンを南下（ＮＡＴＯ情報部長室での命令の回想）
　　　　　　　（アウトバーン）
　　　　　　　　↓
　　　　〈夜〉南ドイツ　ホテル
　　　　　　　　　〈翌日〉↓ジョギング
　　　　　　　　　　　　　となり町
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　しげみの中
　　　　　　　　　　　　　　↓ジョギング
　　　　　　　　　　　　　ホテルへ戻る
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（レストラン）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（風呂）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（寝る）
　　　　　　　　　〈翌日〉
　　　　　　　　　　　　　　↓電車（少年時代の回想）
　　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　　　　　　　　　　　レストラン
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　ギムナジウムのイモ畑（少年時代の回想）
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　礼拝堂
　　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　ホテル
　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　（どこかの畑みたいな所）
　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　ボンへ

　ヨーロッパで毎年一度開かれている「ＥＣ諸国の文化交流と友好親善を深める世界博覧会」――いわゆる「ＥＣ博」が、今年はケルンで開催される。英国王室は、秘蔵のビクトリア女王の宝冠を特別展示する予定だ。少佐はＳＩＳに協力し警備にあたることになった。乗り気でなかった少佐だが、その後、軍事的重要機密に関する重大な事態が発生する。さらに、ネオ・ナチスによるテロ活動が・・。
　「中身なんぞ盗まれたってかまわん。問題はこのグラス・ファイバーだ―――！！」　

登場人物
　イギリス・エリザベス女王
　西ドイツ・シュミット首相

　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｇ、Ｚ
　　イスタンブール駐在・ジョバンニ・ステファーノ
　　サンジャビ大尉

　ＳＩＳ
　　チャールズ・ロレンス

　ＫＧＢ
　　コードネーム「白クマ」

　ネオ・ナチス
　　フランツ・ランドルフ　エンジニアリング会社「ＫＥ・メカニズム」に潜入

　情報部長夫人
　エーベルバッハ家の執事
　ベイルートのバクチアル父子

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君
　ジョン・ポール君

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（玄関）
　　　　　　　　　　　　　　　　（エレベーター）
　　　　　　　　　　　　　　　　（廊下）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部長室）
　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（どこかの部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部長室）
　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（どこかの部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部長室）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）
　　　　　　　　↓
　　　　　　　ケルン　ＥＣ博会場
　　　　　　　　↓
　　　　　　　ボン　ＮＡＴＯ支部情報部長室
　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　自宅
　　　　　　　　　　　　　（洗面所）
　　　　　　　　　　　　　（廊下）
　　　　　　　　　　　　　（食堂）
　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　（ＮＡＴＯ支部情報部へ）
　　　　　　　　：
　　　　　　　ケルン　ＥＣ博会場
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　〈夜〉ＥＣ博会場
　　　　　　　　　　　　　　　　　（コントロール室）
　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　クラブ「ドーム」へ向かうが引き返す
　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　ＥＣ博会場
　　　　　　　　　　　　　〈徹夜〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　（コントロール室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（地下金庫前）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（中へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（外へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（一旦コントロール室へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（トイレ）
　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　（コントロール室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　〈翌日〉ＥＣ博会場
　　　　　　　　　　　　　　　　　（トイレ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（廊下）
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　ケルン警察
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　ちょっとさびしい所（車内）
　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　ＥＣ博会場
　　　　　　　　　　　　　　　　　（地下金庫の中へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（飾り台へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（地下金庫前へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（コントロール室）
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　ボン　自宅
　　　　　　　　　　　　（ソファの上）
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　（玄関へ）

　少佐は、ＮＡＴＯ諸国の会議のためロンドンへ出張するついでにエーベルバッハ家の絵画「紫を着る男」を売りに出そうとするが、会議が一週間延びてしまう．．
　伯爵が主役の番外編。Ｎｏ．１１へのイントロダクション。今回、少佐は脇役だが、コン・ゲームものとして面白い。誰が最後に笑うのか‥。
　それにしても、こちらの番外編も、伯爵の生い立ちを描いた各エピソードの説得力はすごい。伯爵がなぜ“ホモ”の“泥棒”になったか納得させられてしまう。
　「やいてめえ！言いたい事があるならはっきり言え！　何が面白くて人の顔をじろじろ見やがるか！」　　　　　　

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　西ドイツ・ボン支部情報部将校

　ＳＩＳ
　　チャールズ・ロレンス

　サーリム・アル・サバーハ　クウェートのオイル・ダラー

　「イングランド・アート」の支配人・レイノルズ
　エーベルバッハ少佐の父（電話）
　エーベルバッハ家の執事
　ベイルートのバクチアル父子

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　伯爵の父母と三人の姉（伯爵の回想）
　レックス・プライス卿（伯爵の回想）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君
　ジョン・ポール君
　伯爵の師

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　自宅
　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　：
　イギリス　ロンドン
　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　　　　　　　　　　　ホテル
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　ロンドン一のレストラン
　　　　　　　　　〈翌日〉
　　　　　　　　　　　　　「イングランド・アート」
　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　〈夜〉ホテル（フロント）
　　　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐
　　　　　　　　　　　　　ホテル
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　「イングランド・アート」
　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　ホテル

　前話のラストで、ＮＡＴＯ諸国の会議が無事終わったものの濃霧のため飛行機が欠航し、ロンドンに足止めをくらった少佐。ボンの部長から、ＳＩＳの重要書類を受け取ってくるよう連絡が入る。それは、ＫＧＢ本部の全ての部局を詳細に分析した報告書――「ルビヤンカ・レポート」であった。７日間の１日目は、滞在が延びたロンドンから始まる．．
　シリーズ最高傑作。ルビヤンカ・レポートをめぐって、ＮＡＴＯ、ＫＧＢ、“エロイカ”、サバーハが四つ巴となって争う面白さは無類！（正確にはさらにジェイムズ君がからみ、五つ巴か？）　スペインの酒場「アルカラ」での、少佐とミーシャの息詰まる死闘！
　「――これが俺のツラか．．ひでえもんだ。」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　オスロ支部・ムンク少佐
　　エーベルバッハ少佐の部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｇ、Ｚ
　　サラゴサ空軍基地・メンドーサ副指令

　ＳＩＳ
　　情報部長ミスター・Ｌ
　　チャールズ・ロレンス

　ＫＧＢ
　　コードネーム「仔熊のミーシャ」
　　コードネーム「銀のオーロラ」

　サーリム・アル・サバーハ　クウェートのオイル・ダラー

　ノルウェー英国大使館のフリーマン一等書記官
　ルフトハンザ・ドイツ航空ケルン・ボン／ニュルンベルグ行き５９０便のリヒター機長
　サンタ・マリア・イン・ドンナ・レジナ尼僧院の院長
　ジャン・マリア・ボロボロンテ　マフィアの大ボス

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
１日目　イギリス　ロンドン　ホテル
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　 　　　　　　　　　　　　　　ギフトショップ「ＰＲＩＮＣＥＳＳ　ＲＯＯＭ」
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　↓ミスター・Ｌの車
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　↓ロレンスの車
　　　 　　　　　　　　　　　　　　ホテル
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　↓タクシー
　　　 　　　　　　　　　　　　　　ヒースロー空港
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　↓１８時２５分発ルフトハンザ・ドイツ航空５９０便ケルン・ボン／ニュルンベルグ行き
　　　 　　 ノルウェイ　オスロ　オスロ空港
　　　 　　　　　　　　　　　　　〈夜〉
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　：同機内
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（トイレ）
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（機長室）
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（トイレ）
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（機長室）
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　 　　 フランス　パリ　シャルル・ド・ゴール空港
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　：同機内
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（客室へ）
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（機長室）
２日目　 　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　スペイン　アラゴン地方
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　↓機外へ
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　サンタ・マリア・イン・ドンナ・レジナ尼僧院
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　↓徒歩
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　↓馬
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　↓バス
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　スエラ
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〜酒場「アルカラ」
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓軍用車
３日目　　　　　　　バルセロナ近く　安ホテル
　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　（ベッド）
　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　（シャワー）
　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　バルセロナ空港
　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　↓航空機
　　　　　　イタリア　ローマ　ローマ空港
　　　　　　 　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　 　　　　　　　　　　ジャン・マリア・ボロボロンテ邸
　　　　　　 　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　 　　　　　　　　　　ローマ空港
　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　（サーリム・アル・サバーハのチャーター機内）
　　　　　　 　　　　　　　　　　　↓カイロ行き定期輸送便
４日目　エジプト　カイロ　カイロ空港
　　　　　　　 　　　　　　　　　　↓ベンツのタクシー
　　　　　　　 　　　　　　　　　　↓鉄道
　　　　　　　 　　　　 　アレクサンドリア
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〜ボロボロンテのクルーズ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　街
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　海岸
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈夕ぐれ〉：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ホテル・ロゼッタ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再びホテル・ロゼッタ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（クラブ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（トイレ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（一旦外へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（再びトイレへ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（外へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ホテル・ロゼッタ（パウエル伯爵役）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　周辺で待機（車内から指示）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓グロリア
５日目　　　　　　　　　　　　　 　　　　　↓グロリア
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓トヨタのジープ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　古代遺跡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓トヨタのジープ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　エル・アラメイン
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓伯爵御一行のジープ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓部下Ａの車
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
６日目　　↓航空機
　　　　　　西ドイツ　ケルン・ボン空港
　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　ボン　自宅
　　　　　　　　　　　　　　　‐‐‐‐‐
７日目　　　　　　　 　　　ＮＡＴＯ支部情報部室

　部下たちは少佐の家で部長の誕生パーティーを開こうとする。
　「No.12　笑う枢機卿」への布石。「No.12」での失敗以上に、後に部下たちがアラスカ送りされてしまう原因をつくることとなってしまう。
　一見おちゃらけ色ばかりが目立つけど、決して子供だましの小品ではなく、エーベルバッハ家の執事とボーナム君の会話など味わいがあり興味深い。「エロイカ〜」の番外編はみんな傑作だ（笑）！
　「暗闇の中に・・食物のにおいと大勢の人の気配……。」　

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｆ、Ｇ、Ｈ、Ｘ、Ｙ、Ｚ

　ＳＩＳ
　　チャールズ・ロレンス

　エーベルバッハ家の執事

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　北欧に出張中
　（オスロ空港）
　〈夜〉↓航空機
　西ドイツ　ケルン・ボン空港
　　　　　　　　↓車
　　　　　　　自宅

　ＮＡＴＯのローマ駐在員「オットー」がスイスのルツェルンで消された。彼は死ぬ直前、エーベルバッハ少佐あてに「“笑う枢機卿”」というメッセージを残していた。「オットー」がローマからルツェルンまで追っていたものは何か？　そして、“笑う枢機卿”の意味は？
　謎が謎のまま残るかたちで終わるので中途半端な印象を受けるが、『No.13』で「オットー」の情報は解明される。
　「俺のようになりたかった点数かせぎの足跡を、この俺が追うとはお笑い草だ――。」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｆ、Ｇ、Ｈ、Ｌ、Ｍ、Ｑ、Ｘ、Ｙ、Ｚ
　　オットー・バンベルグ　ローマ駐在員

　ＫＧＢ
　　コードネーム「赤いきつね」
　　コードネーム「ラインの夕暮」　＝　ケルンの歯科医クルト・ルンドルフ
　　コードネーム「明がらす」

　イタリア警察
　　フランコ・ジュリアーニ（別名「かんおけ刑事」）
　　フラ・アンジェリコ　もと僧侶

　ルツェルンの僧院の修道僧・ペテルス僧、セバスティアヌス僧
　スイス最大のスーパー・マーケット会社「エーデルワイス」社長・リンゲンとその妻
　ヴァチカンの秘密文書保管所のフェラーニ枢機卿
　クルト・ルンドルフ　ケルンの歯科医　＝　ＫＧＢ・コードネーム「ラインの夕暮」

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　NATO支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）
　　　　　　　　　　　　　　　　（部長室）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）
　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　ケルン・ボン空港
　　　　　　　　　　　　↓航空機
　イタリア　ローマ
　　　　　　　　　　　〜サン・ピエトロ広場
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　フォロ・ロマーノ
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　〈翌日〉ホテル　アトランティコ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（レストラン）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ロビー）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（４０１７号室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ツアー・コンダクターのカウンター）
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　ヴァチカン　秘密文書保管所
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　サン・ピエトロ広場
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　うまいレストラン
　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　〈夜〉ホテル　アトランティコ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（４０１７号室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（４０２０号室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（東側の部屋）
　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　自動車の屋根へ
　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　レオナルド・ダ・ヴィンチ空港
　　　　　　　　　　　　　↓国内線２０時１０分発ミラノ行き
　　　　　　　ミラノ
　　　　　　　　　　　〜基地
　　　〈翌日〉↓
　スイス　チューリヒ
　　　　　　　↓
　　　　　　ルツェルン　（簡易司令室）
　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　スーパーの近く
　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　スーパーエーデルワイス社長室（法王庁の調査団員役）
　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　僧院
　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　〈夜〉：
　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　僧院
　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　（作戦会議）
　　　　　　　　　　　〈翌日〉：
　　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　　僧院
　　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ（西ドイツ美術品修復会社社員役）
　　　　　　　　　　　　　　湖
　　　　　　　　　　　　　　　↓スーパーエーデルワイス社用車（ボーナム君の運転）
　　　　　　　　　　　〈夜〉アードラー城を下見
　　　　　　　　　　　　　　　↓スーパーエーデルワイス社用車（ボーナム君の運転）
　　　　　　　　　　　　　　レストラン
　　　　　　　　　　　　　　　↓スーパーエーデルワイス社用車（ボーナム君の運転）
　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　アードラー城の背面の崖
　　　　　　　　　　　　　　　↓クライミング
　　　　　　　　　　　　　　アードラー城内
　　　　　　　　　〈夜明け〉
　　　　　　　　　　　　　　　：
　最寄りのＮＡＴＯ軍基地
　　↓ヘリ
　西ドイツ　ボン
　　　　　　　　　　〜ＮＡＴＯ支部情報部室

　前話のラストでついにアラスカに送られたＡからＹまで２５名の部下は、アメリカ空軍アラスカレーダー基地のお世話になっている。一方、「No.11」で少佐に屈辱を受け、シベリアに送られていた「仔熊のミーシャ」は、闘志を燃やしながら帰還命令を待っていた。そのころボンでは…。
　「くそ！　なんて忙しいんだ！　くそ！」　　　（以上がこの番外編の全て）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｇ

　ＫＧＢ
　　コードネーム「仔熊のミーシャ」
　　コードネーム「明がらす」

　アメリカ空軍アラスカレーダー基地司令官

　部下Ａの奥さん（手紙）
　「仔熊のミーシャ」の妻（手紙）

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　（トイレ）

　ソ連大使館のイワノフ三等書記官が、週末からハンブルクへ休暇と称して旅行し、そこで重要人物と接触するらしい。部下が不在で忙しい少佐に、相手が何者かつきとめろという任務が与えられるが‥。
　「妙な男だな、行動形式が支離滅裂だ。何をしたいのかさっぱりつかめん。」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部人事部長
　　同情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校

　ＳＩＳ
　　ミスター・Ｌ
　　チャールズ・ロレンス

　ＫＧＢ
　　西ドイツ・ソ連大使館のイワノフ三等書記官

※　前話に続き今回も部下Ｚは任務で出払っている。このころＺは、『Ｚ・�X“BLACK-OUT”』で活躍していた（？）

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（廊下）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部長室）
　　　　　　　　　　　　　　　　（廊下）
　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　↓ルフトハンザ航空
　　　　　　　ハンブルク
　　　　　　　　　　　　　　　　↓タクシー
　　　　　　　　　　　　　　　リゾートホテル
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（フロント）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（プールサイド）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（売店）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（プールサイド）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉（部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈翌日〉（部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（フロント）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　↓タクシー
　　　　　　　　　　　　　　　空港
　　　　　　　　　　　　　　　　↓ルフトハンザ航空
　　　　　　　　　　　ケルン・ボン空港
　　　　　　　　　　　　　　　　↓タクシー
　　　　　　　ボン　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部長室）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）

　前話のラストで、ロレンスは「No.12」の壁画をルツェルンへ運ぶこととなった。ルツェルンでは「エロイカ」御一行が待っていた。少佐はまだ部下たちを呼び戻そうとしない．．
　「それはいい考えですね。ついでにシャワーと食堂とベッドがあれば万全です。」

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｇ、Ｚ

　ＳＩＳ
　　チャールズ・ロレンス

　ルツェルンの僧院の修道僧・ペテルス僧、セバスティアヌス僧

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（トイレ）
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）
　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉：
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）

　『No.12』で少佐に捕まった「明がらす」がようやく吐いた。「オットー」が探り当てたのは、ＫＧＢ活動資金源のスイス銀行の口座番号だった。銀行名と振込先の名義は「明がらす」にも知らされていない。エーベルバッハ少佐は、この口座番号の持ち主をつきとめるため、アラスカから部下たちを呼び戻す。一方、シベリアに送られていた「仔熊のミーシャ」も、モスクワへの帰還命令が下る。その後、ＣＩＡの護衛でＮＡＴＯ本部へ来る途中のコンピュータ技師が何者かに拉致され、物語は加速する．．
　スイス銀行前の睨み合いから一転、舞台はスウェーデン、ギリシャ、トルコへ。ブラック・ボックスをめぐる壮絶な戦いが展開。この作品と次の『皇帝円舞曲』で、シリーズはいよいよピークを迎える。
　「――ブラック・ボックスが東側の手で利用されないためには、奪回するか、破壊する。」

登場人物
　リヒテンシュタイン公国国王フランツ・ヨーゼフ２世

　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部人事部長
　　同経理課長
　　同情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　ノルウェイ支部・ムンク少佐
　　エーベルバッハ少佐の部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｇ、Ｈ、Ｎ、Ｚ
　　アテネ支部の連絡員「パリス」

　ＳＩＳ
　　チャールズ・ロレンス

　ＣＩＡ
　　ケント
　　スミス
　　コードネーム「ジョン」
　　コードネーム「メリー」

　ＫＧＢ
　　コードネーム「白クマ」
　　コードネーム「仔熊のミーシャ」
　　パブロス・カザンザキス／コードネーム「ヘラクレス」　アテネの海運会社の社長、大富豪
　　コードネーム「ゾルバ」

　ホルン・ガイスマン　リヒテンシュタインで世界中からのペーパー・カンパニーを扱っている事務所の所長
　ホルン・ガイスマンの細君
　スコット氏
　ロバート　ＩＢＭのコンピュータ技師
　ドーラ、クリオ　「ヘラクレス」の女
　エーベルバッハ家の執事

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君
　伯爵の師

　　　　　前半

　　　　後半

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　自宅
　　　　　　　　　　　　　（寝室）
　　　　　　　　　　　　　（洗面所）
　　　　　　　　　　　　　（浴室）
　　　　　　　　　　　　　（廊下）
　　　　　　　　　　　　　（部屋）ｅｔｃ．
　　　　　　　　　　　　　（屋根の上）
　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　〈翌日〉ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部長室）
　　　　　　　　　　　　　　　　（廊下）
　　　　　　　　　　　　　　　　（部室）
　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　めしでも食いに
　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　〈翌日〉ＮＡＴＯ軍基地
　　　　　　　　　　　　：
〈翌日〉
　スイス　チューリヒ　（簡易司令室）
　　↓ベンツ
　リヒテンシュタイン公国
　　　　　　　　　　　　　　　〜街　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　ホルン・ガイスマン宅前
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　再びホルン・ガイスマン宅前（ヘルムート・シュミット役）
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　ホルン・ガイスマン氏の行きつけの店
　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉：
　　　　　　　　　　　　　　　　花火大会
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　ホテルへ
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　〈翌日〉電話ボックス
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　〈夜〉簡易司令室
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　〈翌日〉簡易司令室
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓まっ赤なイタリア車
　　　　　　　　　　　　　　　　スイス国境
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓まっ赤なイタリア車
　スイス　チューリヒ　ユニオン銀行の前
　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　簡易司令室
　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　簡易司令室
　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　↓航空機
　ベルギー　ブリュッセル
　　　　　　　　　　　　〈夕方〉ＮＡＴＯ本部
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　オランダ　アムステルダム　ＮＡＴＯ基地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　スキポール空港
　　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉↓航空機（ルフトハンザ最終便）
　スウェーデン　ストックホルム（シュミット氏役）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓タクシー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中央駅
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓レンタカー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　簡易宿舎
　　　　　　〈翌日〉↓レンタカー
　　　　　　　　　　モーラ　スキー場
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（サウナ・ハウス）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（サウナの中）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（外へ）
　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　「なんとか病院」
　　　　　　　　　　　　　　　　↓ジープ
　　　　　　　　　　（マルング）
　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　（クララブロ）
　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　ノルウェイ国境
　　　　　　　　　　　：
　ノルウェイ
　　　　　　　〜オスロ　ＮＡＴＯノルウェイ支部
　　　　　　　　　　　　　　（ＮＡＴＯ軍事基地）
　　　　　　　　　　　　　　　↓軍用機
　ギリシャ　アテネ近郊　エレフシス基地
　　　　　　　　↓
　　　　　　　アテネ　アクロポリス
　　　　　　　　↓
　　　　　　　ナフプリオン　パブロス・カザンザキス邸宅近く（ボン大学の学術調査団員役）
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　〈夜〉ホテル
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ロビー）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　〈翌日〉：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（部屋）
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　パブロス・カザンザキス邸近くの丘
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　近くの茂み
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　海岸
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　パブロス・カザンザキス邸近く
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　海上の漁船
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　海中
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　海岸
　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉：
　　　　　　　　　　　　　　　　ホテル
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓軍用機
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓パラシュート
　　　　　　　　　　　　　　　　パブロス・カザンザキス邸内
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　　　　邸近くの茂み
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　ホテル
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓ギリシャ空軍機
〈翌日〉
　トルコ共和国　イスタンブール　ＮＡＴＯ基地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　旧市街、ブルー・モスクの側、「ヘラクレス」の隠れ家
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ブルーモスク
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓よじ登る
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　モスクの上へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　下へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ローマ時代の給水設備の跡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ルメリ・ヒサール
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　西ドイツ　ドイツ陸軍病院


※　冒頭の少佐のズル休みは、これだけで一つの《番外編》のよう。今回の話は“Ｚシリーズ”『Ｚの幸運』と同時進行で、この欠勤の件と「めしでも食いにいかんか」の場面はリンクしている。特に「めしでも食いに…」の場面１ページ分は完全に同一であるが、片や少佐の視点から、片やＺの立場から描き切っているのは見事である。（当然であるが、少佐のネクタイも同じ。）

　…ロレンスは私（筆者）かもしれない．．
　「何を考えとるんだ、あの野郎！」

登場人物
　エーベルバッハ少佐
　チャールズ・ロレンス

少佐の行程
　ドイツ陸軍病院

　「No.13」で重傷を負った少佐は、陸軍病院で入院加療中である。一方、ボン支部内では…。
　このおちゃらけ番外編も、妙なところがミョーに生々しく、印象深い。入院中は「エロイカより愛をこめて」を読んでれば、飽きませんよねえ。
　「ゲーテ、ハイネ、カロッサにヘッセだと？学生時代に読んでうんざりした本ばかり持ってくるな！」　　

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部経理部長
　　同情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　エーベルバッハ少佐の部下Ａ、Ｂ、Ｇ、Ｙ、Ｚ
　　庶務課のハンス

　ＳＩＳ
　　ミスター・Ｌ
　　チャールズ・ロレンス

　エーベルバッハ少佐の主治医　ドイツ陸軍病院第一外科部長
　エーベルバッハ家の執事

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　ドイツ陸軍病院で入院生活
　（３月２５日　歩く練習）
　（３月３１日夜　病院の天井の掃除）

　リハビリのためケルンで湯治中の少佐のもとへ、グローリア伯爵が遊びに来る。（遊びに来てるんだろうなあこれは。）少佐は少佐で、リハビリがてら…。（なんだかこの番外編だけ読んでると、この二人すごく仲が良さそう。）
　「相手をよく見て尾行しろ、ド素人め！」　

登場人物
　エーベルバッハ少佐

　ゲオルク・ランケ　山の上の城の管財人
　ステファン・ランケ　ゲオルクの息子
　イレーネ
　ドンドルフ　執事

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　ボーナム君

少佐の行程
　西ドイツ　ケルン　
　　　　　　　　　　　○ライン湖畔の鉱泉でリハビリ
　　　　　　　　　　　○リハビリがてら山の上の城の近くへ
　　　　　　　　　　　○〈翌日〉山の上の城の近くへ

　復帰したエーベルバッハ少佐に、ウィーンで開かれるＮＡＴＯ諸国とワルシャワ条約機構の軍縮交渉に出席する任務が与えられる。世界中のエージェントたちにＮＡＴＯ情報部のエース復活をお披露目させてやろうというのだ（実は上層部によるもっと低レベルな奸計）。渋りながらも出発した少佐のもとへ、ＣＩＡのエージェントがウィーンで謎の失踪をしたという連絡が入る。彼は、潜入先のソ連から、全世界に影響を及ぼす情報を持ち帰っていたのだ。世界中のエージェントが少佐の競争相手となる．．
　作品世界で描かれた期間は約二週間と長いが、ウィーンとインスブルックに行動範囲は限定されている。そのためもあってか、大作であるものの、それを感じさせず、逆に印象を薄いものにしてしまっているかもしれない。（もっとも、これは「No.11」や「No.13」と比較するからであろう。）曲解がベースなのと、「ごり押しディック」の短絡ぶりも、再読するにちょっと苦痛かも…。
　「『マリア・テレジア』か――手強いはずだ。オーストリア中のマリア・テレジア像を見るたびに、いやな気分になりそうだな。」　

登場人物
　ＮＡＴＯ
　　西ドイツ・ボン支部経理部長
　　同人事課長
　　同情報部長
　　クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐（別名「鉄のクラウス」）　情報部将校
　　部下Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｇ、Ｋ、Ｌ、Ｚ

　ＣＩＡ
　　ディック・グラント（「ごり押しディック」）
　　ジョーとボブ
　　ジム・カーティス
　　コードネーム「メッテルニヒ」　＝　シュトルツ商会のカール・シュトルツ

　ＳＩＳ、ＳＤＥＣＥ、ほか

　コードネーム「マリー・アントワネット」　オーストリア政府のスパイ

　ＫＧＢ
　　コードネーム「白クマ」
　　コードネーム「アザラシ」
　　コードネーム「トナカイ」
　　コードネーム「マリア・テレジア」
　　コードネーム「ウクライナ」

　クリスタ・ギンテル　ピアノ教師

　プラシド・ドミンゴ　テノール歌手
　オーストリアの西ドイツ大使
　オーストリアの西ドイツ公使
　オーストリアの西ドイツ大使館のシュナイダー君
　オーストリアの西ドイツ大使館の運転手
　オーストリアのフランス大使館のコルベール
　オーストラリアの日本大使館文化担当官・佐藤
　シュトルツ商会のカール・シュトルツ　＝　ＣＩＡの現地要員・コードネーム「メッテルニヒ」
　シュトルツ夫人・エリザベート
　フィガロ商会の主人
　ペーター　インスブルックの神学生
　フランツ　写真屋、町の楽団のメンバー
　ベティ　アメリカ娘
　モロゾフ　プッチーニのオペラ「トゥーランドット」でドラをたたく男
　イワノフ　ウィーン国立歌劇場の記録係
　エーベルバッハ家の執事

　ドリアン・レッド・グローリア伯爵（別名「エロイカ」）
　計理士・ジェイムズ君
　ボーナム君

少佐の行程
　西ドイツ　ボン　自宅
　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　ＮＡＴＯ支部
　　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　（情報部長室）
　　　　　　　　　　　　↓ルフトハンザ航空
　オーストリア　ウィーン
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉ホーフブルク宮殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　近くの森
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　〈夜〉ドイツ連邦共和国大使館
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉　　　　〃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　〈夜〉ウィーン国立歌劇場
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　ドイツ連邦共和国大使館
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉　：
　　　　　　　　　　　　　　　　遊園地
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉　：
　　　　　　　　　　　　　　　　市内各地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　ドイツ連邦共和国大使館
　　　　　　　　　　　　　〈夜〉　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　　　　伯爵のホテル
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　　　　ドイツ連邦共和国大使館
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉　：
　　　　　　　　　　　　　　　　街のカフェ
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　公園
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　〈夜〉ドイツ連邦共和国大使館
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉　　　　〃　　　　　　　　　　（以後、４日間は大使館にはりつく）
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉　　　　〃
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　聖十字架の僧院
　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉ドイツ連邦共和国大使館
　　　　　　　　　　　　〈翌日〉　　　　〃
　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉↓公使の車
　　　　　　　　　　　　　　　　シュトルツ商会の近く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　ドイツ連邦共和国大使館
　　　　　　　　　　　　　〈翌日〉↓公使の車
　　　　　　　　　　　　　　　　　空港
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓ルフトハンザ航空２６７便
　西ドイツ　ミュンヘン　ミュンヘン・リエム空港
　　↓
　オーストリア　インスブルック
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓ロープウェイ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山頂の山小屋の近く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　公衆電話
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ホテル　ＡＬＰＩＮＰＡＲＫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　街へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ホテル　ＥＵＲＯＰＡ　ＴＹＲＯＬ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（３１１号室）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　待ち合わせ場所
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　城の裏山
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　〈翌日〉：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　レストラン
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　観光レストラン
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　写真屋フランツの店の裏手にある小さな教会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カニシヌアム神学校
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　写真屋の裏手の教会へ戻る
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　王宮教会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ホーフブルク（王宮）
　　　　　　　　　　　　　　　〈明け方〉↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　王宮の屋根の上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　町の家々の屋根
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くだもの屋のひさしへ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓馬
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　民家の台所
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　外へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ホテル　ＡＬＰＩＮＰＡＲＫ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あき家
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　森（特命刑事デリック役）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓カヤックで川を下る
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川の中へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　インスブルックからキュフシュタイン寄り　チロルの民家
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　西ドイツ　ミュンヘン　ミュンヘン・リエム空港
　　　　　　　　　　　　　　　↓ウィーン行ルフトハンザ航空
　オーストリア　ウィーンが大雨のため、着陸地がザルツブルク・マックスグラン空港へ変更
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉↓車
　　　　　　　　　　ウィーン　ドイツ連邦共和国大使館
　　　　　　　　　　　〈翌日〉　　　　　　〃
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　街へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓車
　　　　　　　　　　　　　　　　ウィーン中央墓地
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　国立歌劇場そばのカフェ
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　国立歌劇場舞台裏
　　　　　　　　　　　　　　〈夜〉↓ベンツ
　　　　　　　　　　　　　　　　（ハインブルク）
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　チェコとの国境の検問所前
　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　〈翌日〉大使館
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　　　　　　　　ホーフブルク（王宮）

　・・・この後、コミックスの発行日でいうと約８年もの長い沈黙期に入る。もったいない感じもするが、確実にマンネリ気味にもなりかけてたので、「皇帝円舞曲」で一旦中断して正解だったかもしれない。いや、そう考えるしかもはやない。　Ａｎｄ…

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