「エロイカより愛をこめて」、略して「エロ愛」（←おこられるぞ）。少女漫画史上、最高傑作の一つである。いや、こう断言するのはまだ早い。なにしろ、この作品はまだ、“終わってない”のであるから！
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本ページでは、この作品の主人公をエーベルバッハ少佐と位置づけて作ってます。本当はこの漫画にはもう一人、伯爵という主人公がおりますが、伯爵のことは意図的にほとんど無視するという手法をとってます。（伯爵ファンのかた、すみません。）
プリンセスコミックスのカバーの表紙を見てみましょう。
（表） （ちなみに裏表紙）
第１巻 伯爵 少佐
第２巻 伯爵と少佐 ジェイムズ君
第３巻 伯爵と少佐 仔熊のミーシャ
第４巻 伯爵と少佐 ジェイムズ君
第５巻 伯爵と少佐 部下Ａ、Ｂ
第６巻 少佐（と少佐のサングラスに映る伯爵） 伯爵（表紙と同一の表情！）
第７巻 伯爵 ロレンス
第８巻 伯爵と少佐 伯爵？
第９巻 伯爵 サバーハ
第１０巻 伯爵 少佐
第１１巻 伯爵一行 少佐
第１２巻 少佐 ロレンス
第１３巻 伯爵 少佐
第１４巻 少佐 伯爵一行
第１５巻 少佐 少佐
第１６巻 少佐 黄昏のウィーン
第１７巻 伯爵 伯爵、少佐、白クマ、ごり押しディック
第１８巻 少佐 少佐
第１９巻 伯爵 （「ジェイムズⅠ世伝」中の）伯爵、少佐、ジェイムズ君、ロレンス
第２０巻 少佐 伯爵
第２１巻 伯爵 少佐
第２２巻 少佐 伯爵と少佐
第２３巻 少佐 伯爵
第２４巻 伯爵 少佐
第２５巻 少佐 伯爵（と少佐の腕）
第２６巻 伯爵 少佐
第２７巻 伯爵とジェイムズ君 伯爵と少佐
見事に均衡してます。正確に言うと、意外にも伯爵の方に分があるくらいです。この一事をもってしても、この漫画の主人公は伯爵と少佐の二人であり、伯爵を抜きにして作品「エロイカ～」はとても語れないことがわかります（半分笑）。
なぜ少佐だけを主人公という扱いにしたかは、次の理由があります。
①他のコンテンツと差別化を図るため。
②あまりにも情報量が多く込み入ってる作品なので、とても伯爵の方まで手が回らない。少佐の方だけ追いかければすっきりしたモノが作れる。
③少佐の方が好きである。伯爵はよくわからない。ホモだし。（ホモのかた、すいません。）
特に②の前段の理由は、二人が共に行動することが多いとはいえ、如何ともしがたいものがありました。（よーするに妥協じゃねーかよ、って言わないで‐‐″。）
③についてもっとはっきり言ってしまえば、筆者は伯爵にまるで魅力を感じないのです。筆者は男性ですが、男性の大多数は同意見のはずだと思ってます。伯爵はやはり女性ウケするキャラクターなのでしょうか。（実は女性にもあんまりウケてなかったりして。それはないか．．）
ホモの話題も筆者にとっては全くよけいであり、伯爵のホモ・ネタはできるだけ避けたいという気持ちもありました。この漫画の主要な登場人物は全て男性で、男女間の色恋沙汰をストイックなまでに排してることは非常に好感の持てる点であるのですが、そのかわり、（というわけではないのでしょうが）ホモ・セクシュアルというファクターの役割が特に初期において大きくなっております。少女漫画における「エロイカ～」連載当初の頃のホモ・ムーブメントは、真剣で辛辣で重厚でした。タイトル冒頭の「エロ」という語感も手伝い、最初期の頃、少年少女たちは、伯爵と少佐がキスしてしまうのではないかといらぬ心配をしながら「エロイカ～」を読んでたものです。
しかし、伯爵と少佐．．．ヨーロッパを舞台にそれぞれ全く異なる生き方をする二人の超人が絡み合うアドベンチャー・ロマン！ これこそ、「エロイカ～」の世界の一番の醍醐味であることはまちがいありません。伯爵御一行の登場しない「Ｚ―ツェット―」や「魔弾の射手」が立派に描かれていながらもうひとつ人気がないのは、そのためだと一般に言われてます。
本ページでは伯爵を無視するという暴挙に出ましたが、本ページを読まれる際には、もう一人の主人公、伯爵の足取りをも重ね合わせてみながら是非お楽しみくださいませ。
また、「エロイカ～」未体験のかたが本ページを読まれ、“なんだ、こんな感じの物語か、つまんなさそー”と思われた場合は、この作品にはもう一人、伯爵という主人公がいることをお忘れにならぬようお願い申しあげます。伯爵と少佐が絡み合い、ほかでは経験できないゴージャスでウィットに富んだ世界が繰り広げられるのです。
っていうか、今までの論旨や本体ページの内容と矛盾するようですが、「エロイカ～」は、“主人公が二人いて絡み縺れ合うドラマ”としてよりも、もともと本来ただ一人の主人公であったはずの伯爵をこそ真の主人公とし、少佐は“伯爵の強力なライバル”ととらえた方が一層楽しく読めるような気もします。エーベルバッハ少佐は、“主人公らしからぬほど強い”人物だからです。（って、伯爵も強いんだけど。いろんな意味で。）カッコイイ主人公よりカッコイイ脇役の方がずっとカッコよく、引き立つ人物でいられるのです（？少佐ファンの変な肩入れ）．．
いやーしかし、《泥棒貴族の伯爵とＮＡＴＯの少佐とのからみを中心に、男のロマンが激突する、アクション・シリーズ！！》 …この宣伝文句を眺めてるだけで、筆者のような３０台も後半のオッサンまでをもいまだに惹きつけてやまない、ワクワクさせつづける「エロイカ～」の巨大なパワーは‥さて、一体なんなのでしょうかねえ．．．