Case File ７ ドモン入院中
ドモンが夜中に突然暴れ出した。時間移動した際の“データ酔い”らしい。３０世紀の故郷を想い、むせび泣くドモン．．
３０世紀格闘技・グラップの全容がいよいよ明らかに！
［脚本：小林靖子］
（夕暮れ）
なーにサボッてんだよー、行くぞ！
…やっぱ、千年の差ってデカイな。空とかさ。何か、そんなもんまで違う気がする。
空？
腹へったな。何か食ってくか。
おおい、ちょっと！
（夜。竜也とドモンの屋台ラーメン。）
なんだよお前、兄弟いないの？ 俺なんて７人。７人兄弟。じいちゃんとばあちゃん入れたら、もう大家族だよ。たいへんなんだよー、いつもてんやわんやで。それがまた楽しいんだ。
全然食べてないじゃん。
そんなことより、一撃だよ、一撃。チャンピオンの隙をついて、俺のパンチが炸裂！ スカッとしたよなー、あん時は。いやー、クビになったけど。…グラップも、けっこう面白かったよな…。
食わないなら行くぞ。
あ、ああ…。
（夜中）
わー、遅刻だ！
ドモンさん、どうしたんですか。
試合だ、試合。また減俸になっちまう！ （出ていく。）
なんだよもう、こんな夜中に…。
さあ、なんか試合って言ってましたけど…。
なに寝ぼけてんだよ、あいつ…。
（外）
やっべー、遅れるー。 あれ？ スタジアム、どこだっけ？ …何だ？ ここ？
ドモン！ 何やってんだよ。
なんだ、あんた。俺は今から試合があるんだ。
ハア？
でも、ここって…。
データ酔い？
タック：
ああ、時間移動する前に、この時代の情報を強制的にインプットしたろう。そのせいで、人によっては一時的な記憶の混乱を起こす場合がある。過去と今がごちゃごちゃになるんだ。
なるほどね。さっきのドモンは正にそれだな。
心配ですね。
タック：
でも、普通はそれほどひどくはならないはずなんだが…。
（病院にて）
今は西暦何年だ？
２０００年。
よし。よけいなこと口走るなよ。
ドモン！ 俺だよ、俺！ 思い出せー！
うるせえ。お前のせいだ！ お前がいなけりゃこんな時代に来ることもなかったんだぞ！ もう一生会えないかもしれないんだぞ！ 家族にも、仲間にも！
帰りたいのが、当たり前だよな．．
同じだ…、俺の家からいつも見ていた景色と…。ちょっとは、…つながってんだ．．
（戦いを終えて）
それにしても、どうしてあっさり治ったんだ？
いいだろう！ 別に。
でも、あんなにひどかったのに。
なんだよ、治っちゃ悪いのか。
治ったのは、データ酔いじゃなくて、ホームシックだ。
なんだ、ホームシックだったのか。
いや、そうじゃなくて。
タック：
なるほど。お家に帰りたくてたまらないという思いが、データ酔いをひどくしたわけだ。
ちがうって。
もういいんですか？ …ホームシック。
シオン…。
大丈夫、大丈夫。思いっきり泣いて、発散したもんな。
えっ、ドモンさん、泣いたんですか？
ハハハハハハ、けっこうガキだな。
Case
File ７
2000.Mar.26.
Ｑ： ５人のうち、データ酔いにかかったのは誰でしょう？